地域のつながりの大切さ 震災や豪雨から学ぶ(2月18日)
地域の“つながり”を深める学習会が三国社会福祉センターで開かれました。集まった約130人の住民が、その大切さやあり方について学びました。
都市化の影響で地域内の人の関わりが希薄になり、高齢者などの社会的な孤立が問題視される中、東日本大震災を機に隣近所の助け合いや地域のつながりの大切さが全国的にも見直されています。この学習会は、こうした現状や課題を踏まえ、住民が主体となって新しいコミュニティーのあり方を考えようと、市や三国地区まちづくり協議会、三国町区長会連合会などの共催で開かれました。
減災の秘訣は、「逃げること」と「知っておくこと」と「コミュニティー」
- 福井県は「ボランティア先進地」
学習会では、NPO法人福井災害ボランティアネット代表の東角操(ひがしかどみさお)さんが「東日本大災害による気づき 地域防災活動とは」と題して講演を行いました。
地震発生後、いち早く岩手県陸前高田市に入り、被災者支援だけでなく、全国からボランティア活動に来る人たちをサポートしたという東角さん。
冒頭、集中的かつ継続的に被災地を支援するため「チームふくい」が結成されたこと、県単位で支援活動を行ったのは福井県が最初だったこと、それができたのも県独自に「災害ボランティア活動基金」を設けていたからだということ、基金創設に至ったのはロシアタンカー重油流出事故がきっかけだったことなどが紹介されました。
- 防災から減災へ絆と意識を高めて
東角さんは、被災地では日常的に津波警報が発令されていたため、一部の人に「今回も津波は来ないだろう」という慢心があったことや、いったん逃げたのに通帳などを取りに戻って津波被害にあったことなどを例にあげ、「逃げることの大切さ」を強調。「地震はそれが起きた後に避難するが、水害はそれが起きる前に避難しなければならない。まずは命を守ることが最重要」と話しました。
また、自然災害は文明の力では防げないこと、災害は受け入れていくしかないこと、コミュニティーの強さが減災につながることを説明。「普段から、要援護者台帳を整備して地域内にどんな人が住んでいるか情報を共有すること、防災倉庫に格納されている備品やその活用に仕方を知っておくことが大切」と話し、「東日本大震災を、他人事と思わず自分のこととしてとらえて、自分の意識を高めて」と、強く訴えていました。
被災地の実際を写真などで紹介する東角さんと、熱心に聞き入る来場者
地域福祉活動—支え合うための仕組みづくりを
- 喜怒哀楽を共有できる場づくりが大切
引き続き、福井市社会福祉協議会の小柏博英(おがしわ ひろひで)さんが「つながりのある地域づくりのために」と題して講演を行いました。
「一般にボランティアが注目されるほど、地域の支え合いが薄れていく実感がある」という小柏さん。「災害時にボランティアが活躍するようになった背景には、高齢化・核家族化の加速や地域社会の希薄化などが絡み合い、従来の支え合いだけでは対応しにくくなっているという問題がある」と話しました。
さらに、「この問題を考える上で、今は地域が支え合えるよう、一定の仕組みをつくることが大切」とし、人と人が顔を合わせて喜怒哀楽を分かち合う「地域福祉活動」の必要性を訴えました。
- キーワードは「予防」日常あってこその非常時
また、坂井市や内閣府が行った意識調査の分析結果にも触れ、「社会に貢献したいという人、そのきっかけを待っている人が多い一方で、自分の住む地域に関心が薄い人も多い。地域のつながりを築くためには、“きっかけづくり”と“情報発信”も大切」と話しました。
「ち」…小さなことから
「い」…一歩ずつ
「き」…近所の人と始めよう
「ふ」…普段の
「く」…暮らしの
「し」…しあわせ
小柏さんは「日常時に対処できないことは、非常時に対処できたりはしない。防災も健康な暮らしも、予防がキーワードになる」と強調していました。
小柏さんは「福井豪雨では、高齢者サロンなどの地域福祉活動が活発だった地域の安否確認がスムーズだった」ことも紹介
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