睡眠と休養
健康づくりにおける睡眠の意義
睡眠は、こども、成人、高齢者のいずれの年代においても健康増進・維持に不可欠な休養活動です。睡眠が悪化することで、さまざまな疾患の発症リスクが増加し、寿命短縮リスクが高まると言われています。また、必要な睡眠時間には個人差があるとともに、年代によっても変化します。生活習慣や睡眠環境等を見直し、「適正な睡眠時間を確保」するとともに、「睡眠休養感を高める」ことが必要です。
健康づくりのための睡眠ガイド
厚生労働省は、健康づくりに寄与する睡眠の特徴や良い睡眠を習慣的に維持するために必要な生活習慣を身につける手立てとして「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を策定しました。
健康づくりのための睡眠ガイド(PDF:1,261KB)
ライフステージごとの睡眠に関する推奨事項
対象者 |
推奨事項 |
高齢者 |
- 床上時間が8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠時間を確保する。
- 食生活や運動等の生活習慣や寝室の睡眠環境等を見直して、睡眠休養感を高める。
- 長い昼寝は夜間の良眠を妨げるため、日中は長時間の昼寝は避け、活動的に過ごす。
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成人 |
- 適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する。
- 食生活や運動等の生活習慣や寝室の睡眠環境等を見直して、睡眠休養感を高める。
- 睡眠の不調・睡眠休養感の低下がある場合は、生活習慣等の改善を図ることが重要であるが、病気が潜んでいる可能性にも留意する。
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こども |
- 小学生は9~12時間、中学・高校生は8~10時間を参考に睡眠時間を確保する。
- 朝は太陽の光を浴びて、朝食をしっかり摂り、日中は運動をして夜ふかしの習慣化を避ける。
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良質な睡眠のための環境づくり
- 日中にできるだけ日光を浴びると、体内時計が調節されて入眠しやすくなる
- 寝室にはスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることが良い睡眠につながる
- できるだけ静かな環境で、リラックスできる寝衣・寝具で眠ることが良い睡眠につながる
- 寝室は暑すぎず寒すぎない温度で、就寝1~2時間前に入浴し、身体を温めてから寝床に入ると入眠しやすくなる
運動、食事等の生活習慣と睡眠について
- 適度な運動習慣を身につけることは、良質な睡眠の確保に役立つ
- しっかり朝食を摂り、就寝直前の夜食を控えると、体内時計が調整され睡眠・覚醒リズムが整う
- 就寝前にリラックスし、無理に寝ようとするのを避け、眠気が訪れてから寝床に入ると入眠しやすくなる
- 規則正しい生活習慣で、日中の活動と夜間の睡眠のメリハリをつけることで睡眠の質が高まる
睡眠と嗜好品について
- カフェインの摂取量は1日400mg(コーヒーを700cc程度)を超えると、夜眠りにくくなる可能性がある
- カフェインの夕方以降の摂取は、夜間の睡眠に影響しやすい
- 晩酌での深酒や、眠るためにお酒を飲むこと(寝酒)は、睡眠の質を悪化させる可能性がある
- 喫煙(紙巻きたばこ、加熱式たばこ等のニコチンを含むもの)は、睡眠の質を悪化させる可能性がある
妊娠・子育て・更年期と良質な睡眠について
- 睡眠は月経周期の影響を受ける(月経周期に伴う睡眠変化を把握しましょう)
- 妊娠中の睡眠は妊娠経過とともに変化し、胎児の健康にも影響する可能性がある(こころとからだをリラックスさせましょう)
- 子育て期の睡眠も健康増進・維持には重要である
こどもの不安定な睡眠への対処方法
- 睡眠・覚醒リズムの確立を助けるために、夜は部屋を暗くし、朝になったらカーテンを開けて部屋を
- 明るくしましょう。
- 朝起きる時間、お昼寝の時間、寝る時間をできるだけ一定にしてみましょう。
- 夜泣きで辛い時期は、家族一丸となって乗り越えましょう。
- 更年期には睡眠の悩みが再び増えやすい傾向がある(睡眠不足が続くようであれば、医師に相談しましょう)
睡眠とこころの健康
うつ病などの精神疾患では、高い確率で併存する不眠症状や過眠症状のために睡眠が短くなったり長くなったりし、睡眠休養感が慢性的に得られにくいことがあります。
下記の症状が続き、日中の活動に支障をきたすようであれば、医師に相談しましょう。
- なかなか寝付けない(入眠困難)
- 夜間に途中で何度も起きる(中途覚醒)
- 朝早く目が覚める(早朝覚醒)
- 眠っても休養が取れた感覚がない(睡眠休養感の低下)